JR木曽福島駅
2022年2月1日にJR中央西線木曽福島駅にエレベーターが設置されるとの情報を得て、JR木曽福島駅に行ってみることにしました。
国土交通省は1日当たりの平均乗降客数が3,000人以上の鉄軌道駅を原則として全駅に移動等円滑化を実施すると基本方針を掲げています。
長野県統計書によると平成30年の木曽福島駅の1日の平均乗車人員が721人。
乗車人員をただ単純に2倍にして乗降客数にしても3,000人を下回っている同駅ですが、この駅にエレベーターができるのは驚きです。
ちなみに同年の長野県統計書によると小海線岩村田駅の乗車人員が1,314人、大糸線信濃大町駅の乗車人員が1,236人、飯田線飯田駅の乗降人員が867人でいずれも木曽福島駅より乗車人員が多いのですがエレベーターの設置はありません。
もちろん、木曽路の観光拠点駅ではありますが、観光拠点駅なのは信濃大町駅も同様で気になるので行ってみることに決めました。
話を振り出しに戻すと、国土交通省は1日の平均乗降客数が3,000人以上の鉄軌道駅をバリアフリー化にするというわけですが、ということは木曽福島駅のバリアフリー化に国や県からの補助が出ないと思われる。
費用をどうしたのだろうかと考えていたら、2月2日の中日新聞に私の疑問が氷解しました。
「エレベーターの設置事業は2億3,000万で木曽町が1億4,700万円を負担し、残り(=8,300万円)を県と国が負担」
そして、同じ記事にこんなことも書かれていました。
「長野県内にあるJR東海の駅で初めてエレベーターが設置された。」と。
(注・JR塩尻駅はJR東日本の駅にカウントされるので中日新聞の記事は正しいです。)
私が現地に行く前にJR東海のHPに木曽福島駅のエレベーター設置後の駅構内図が反映されていましたが、行くことにしました。
木曽福島駅の構造からエレベーターを設置するのならここしかないとは思っていましたが、それは予想通りでした。
ホーム階から唯一の階段を下りて改札口に向かう通路を通るのですが、その階段の名古屋寄りにエレベーターを設置して、エレベーターを降りてその通路に接続するようにしたと。
ちなみに今まではこの駅に車いすの利用者がいたときはチェアメイトで垂直移動をしていました。
私がこの駅で車いすの人が利用しているのを見たことはありませんが、チェアメイトが置いているのを見たことがあります。
駅の構造を想像しながらJR木曽福島駅に到着しました。
実際に行くとやはり想像通りのエレベーターの配置でした。
エレベーターは三菱製の通り抜けタイプの11人乗りのエレベーターでした。
いつもならここでどの位置にあるのか書くのですが、今回は後で書くことにします。
木曽福島は中山道の宿場町だったことから、駅舎にも雰囲気のある駅舎になっていますが、その駅舎と違和感のないようにエレベーターも格子があったりと駅と一体化しています。
それ自体は評価すべきことなんだと思います。
ホームは1面2線の島式ホームで上下線とも1本のホームで捌くので、エレベーターはこの駅はこれだけで十分です。
このエレベーターで改札階に下りたところになります。写真から見ると右に改札に行く通路があります。
この通路にはスロープも不要なくらい平面の通路なのでこの駅の垂直移動は文字通りこのエレベーターで終わりです。
この通路を突き当りを右に曲がると改札ですが、右に曲がってすぐに駅のトイレがあります。
トイレも宿場町風に格子が付いています。
昔のこの駅のトイレはそんなものはついていなかったのですが…
男女別のトイレで、トイレの中に車いす対応のトイレを設置したので必然的に車いすトイレも男女別になります。
このトイレの入口に点字付きの案内板があります。
前の写真で点字ブロックがこの案内板のためにブロックを敷かれているのが分かります。
トイレのレイアウトが男女で若干違うということもあり、今回のこのトイレの写真を割愛させていただきます。男女別のトイレにするメリットもありますが、デメリットと言えば車いすの方と介護者の性別が別だと入れないことでしょう。
写真はないですが、どういうトイレかと書かせてもらうと、少々狭いトイレという印象です。
それでいて、ウォシュレット、ベビーキープ、ベビーベッド、チェンジングボード、オストメイト装置があります。
駅を出てそばに駅前観光地トイレというのがあります。
こちらは駅のトイレと違い、車いすトイレは男女共用になっています。
こちらは駅の改札外にあるので文字通り誰でも使えます。
このトイレも宿場町風にしていて木曽町のやる気が感じられます。
このトイレの建物の左端(木曽福島の駅舎側)に車いすトイレがあります。
写真はないですが、駅についていないドアの開閉ボタンがありますが、反対に駅のトイレにはついているベビーベッド、ベビーキープ、オストメイト装置、チェンジングボードはついていません。
ウォシュレット機能が付いていますが、フラッシュがタンク側にあったりと車いすの方が使うには少々使い勝手が悪いです。
広さはどちらも似通っていますが、物がない分、すっきりしています。
ここで、今回の現地に行った時に気になったことがあります。
まず、エレベーターの位置です。
正確に言えば、列車の乗降位置についてです。
写真は下り(塩尻・松本方面行)電車とエレベーターですが、2両編成も3両編成も最後部よりも後方にエレベーター乗り場があります。
4両編成の場合のみ前から4両目の1番前のドアがエレベーターの最寄りのドアになります。
実はエレベーター設置前から列車の停車位置が変わっていません。
エレベーターが設置されたら乗客の流れが変わると思われるのですが、停車位置は従来のまま。
しかも、4両編成の普通電車がこの駅に停車するのは1本だけ。つまり、大多数の普通列車はホーム幅の狭いところで乗降させられることになります。
やはり、ここは最後尾を4両編成時と揃えるようにしたら階段を使う人とエレベーターを使う人を分ける効果があるでしょう。
上り(中津川・名古屋方面)電車になるともっと悲惨です。4両編成の電車は階段の手前に先頭車が停車するのでエレベーターに乗るには階段を通り過ぎてエレベーター乗り場に行く必要があります。こちらは特急しなの6両編成時の停車位置に合わせたら先頭車両にエレベーター前から2両目に階段とこちらも乗車客の分離ができます。
ちなみに特急しなのは上り下りとも何両編成でも(6両・8両・10両編成でも)6号車の後方のドアがもエレベーターの最寄りのドアになります。ただ、同じ後方でも下りしなのは名古屋寄りのドア、上りしなのは長野・松本寄りになります。車いす席が2号車にあるので車いすの方は少々遠い配置になります。
次に気になった点は点字の案内です。
トイレの入口に点字案内板がありましたが、あくまでもトイレの点字案内板であって、駅構内の点字案内板ではないです。駅構内の点字案内板はありません。
そして、ホーム上にある待合室への点字ブロックはなく、改札階側の階段付近の点字ブロックをエレベーターの設置部分だけ敷きなおしただけなのでもとからある分と敷きなおした部分と点字ブロックの大きさが違うため分かりにくいものになっています。
最後に駅の券売機です。
券売機は写真の1台しかありません。
全線きっぷうりば(=みどりの窓口)はあるにはあるのですが、7:00から20:00までの開設時間のうち、7:50-8:00、9:30-10:15、11:50-13:20、14:40-15:15、18:35-19:35の計4時間10分は窓口を閉めます。もちろん、この時間にも特急は停車しますし、障害者割引を受けたい乗客もいるでしょう。この券売機は指定席も発行できますが、学割も含めて割引を受けたい方のきっぷは購入できません。ここはサポート付き指定席券売機の設置が必要でしょう。(利用したことはないけどJR西日本で言えばみどりの券売機プラスと似たような機能でしょう。)
前にこの券売機を酷評したことはありますが、(導入するなら改良してからにしてほしいとは思いますが)閉鎖時間を解消するためにも取り替えてほしいところです。
特にハード面は自治体がクリアしたのだし、ソフト面でバリアフリー化を実施してほしいです。
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